コロナウイルス変異株、免疫不全状態の人に発生か ファウチ氏

2021.08.05 Thu posted at 18:31 JST

コロナウイルス変異株、免疫不全状態の人に発生か ファウチ氏

(CNN) 米国のファウチ大統領首席医療顧問(米国立アレルギー感染症研究所長)は5日までに、新型コロナウイルスの変異株に触れ、免疫不全の状態にある人の体内で発生した可能性が強いとの見方を示した。

米戦略国際問題研究所(CSIS)が主催した討論会で述べた。免疫抑制の状態にある人が数週間あるいは数カ月の間、新型コロナの感染に抵抗出来ず、ウイルスの発達あるいは変容を促す十分な時間を許したとの説は新しいわけではない。

ファウチ博士は、知られているように変異株は人間の免疫機能がウイルスにもたらす圧力の結果で出現してきたと説明。その上で変異株は免疫不全の状態にあって感染した人間に由来する可能性が高いとし、ウイルスが消滅したり、あるいはその人間が亡くなったりする前の何日間も体内にウイルスを抱え、本質的に変異株の出現につながったとみられると述べた。

この過程がアルファ型やデルタ型の変異株に生じた可能性があると受けとめていると述べた。アルファ型は昨年出現し、米国での今春の感染拡大の主流となり、デルタ型は昨年後半に確認され、現在は米国で猛威を振るう主因となっている。

ファウチ氏はウイルスの変異株は、新型コロナに対応するため将来開発される一切の薬の行方に影響を及ぼすと指摘。新たな抗ウイルス薬で新型コロナに立ち向かうと同時に、薬への耐性の発生を予期し、計画を練る必要があると主張。

野球のホームランのように一撃の効果がある薬を手にするような話ではないとし、変異株に対応出来る代替の薬を開発し続ける準備を常に心がけなければならないと説いた。

南ア、新たな変異株出現で深刻な第4波懸念-世界に広がる恐れも

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英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)遺伝学研究所のフランソワ・バロー所長によると、「B.1.1.529」は免疫不全の人の慢性感染の過程で進化したとみられ、治療を受けていないHIV感染者だった可能性がある。南アのHIV感染者は820万人と世界最多。免疫不全の人にはウイルスがより長くとどまり得るため、同国のコロナとの闘いを難しくしている。

デ・オリベイラ氏は以前、南アで昨年特定されたベータ変異株がHIV感染者から広がった可能性を指摘していた。

南アで完全なワクチン接種を終えた成人は約35%にとどまっている。他のアフリカ諸国の状況はさらに深刻で、アフリカ大陸全体では人口の6.6%にすぎない。

南アのコロナ感染者は再び急増しており、25日の新規感染者は2465人だった。過去2日間は900人を下回っていた。陽性率は6.5%に上昇した。新規感染者のうち2000人近くは、ヨハネスブルクとプレトリアがある人口最多のハウテン州だった。

デ・オリベイラ氏はその後、同国で検出されたゲノムの75%を「B.1.1.529」が占めているとツイートした。

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